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■543 / 2階層)  弓兵の運用とか(途中)
□投稿者/ クレール 一般人(4回)-(2011/12/17(Sat) 19:40:42)
    2014/03/07(Fri) 20:26:04 編集(投稿者)
    2014/03/06(Thu) 21:18:49 編集(投稿者)

    ○弓兵の運用について

    A.弓兵の性能的評価
    弓兵は、得意分野の評価値において、他の専門職が持つ能力と比べられるほど力が強いわけではない。
    例えばイグドラシル上では弓兵と同級の深度を持つもので比べれば、
    はてない国にある僧侶は名医を超える治療能力を有し、南国のゲリラは弓兵に勝る中距離戦闘能力を誇っている。

    では、弓兵が弱い職業であったかというと、そうではないことが既にニューワールドの歴史が証明している。
    彼らの強さとは、特化し人間離れした力ではなく、その技能とそれを扱う心にこそ秘められているといえる。

    あるいは、こうも言えるだろう。
    肉体的にまんべんなく鍛えられたその能力は「ただの人間」ともいうべきものに近い。
    絶技も持たぬただびとこそが、弛まぬ努力の積み重ねが最強であると伝説が囁くように。
    弓兵はその努力の積み重ねを独自の技法に集約させることで、数字には表せない力を獲得しているのかもしれない、と。

    B.弓兵の特殊技法
    弓兵は、登場当時は唯一の、そして現存する職業においても完全同一の能力は1つもない、射程内に敵が入り次第、体力を消費せずに最速の一撃を放つ技法を習得している。
    補注:同じ技法は<武操>も保有しているが、<武操>のいるたけきの藩国は現在準藩国である。
    一般には「カウンター攻撃能力」という名前で普及しているこの技法だが、上記の平均的な能力と共にこの呼び名もまた、弓兵の真価を覆い隠しているといえるだろう。
    この技法を用いての戦闘行為は、一見すれば攻めの手数を増やすだけのように見える。
    大筋の歴史的事実としてるしにゃん王国の弓兵部隊はそのようにして他に類を見ない大戦果を挙げており、誤った運用方法ではないのは確かだ。
    だが、それはこの技法の持つ可能性の一端でしかない。

    もし、軍隊の体力をARという数字で可視化することができるならば、この「カウンター攻撃能力」は、
    「一般行為判定を行う通常のARの他に、攻撃行動を行うためのARをストックしている」
    と読み替えることができるのである。
    実際に弓兵たちは他の部隊より体力があるわけではない。一般の医師や工兵らと同様に、中距離の移動を5回も繰り返せば彼らの軍事行動のための体力は尽きてしまう。
    だが、「カウンター攻撃能力」をかりそめの体力とみなして上積みしてみれば、その機動力は最新のI=Dに匹敵するものになる。

    機動とは移動であり、移動とは立ち位置を変えることである。立ち位置を変えて自らの有利と相手の不利を導くことが戦術であるならば、
    弓兵は可能行為や特化した評価ではなく、戦術・戦略的行動力において高い潜在性を保有する存在であるといえるだろう。

    C.具体的な運用例
    具体的な運用例を戦史から引用してみよう。
    戦闘行為は基本的に足を止めての殴りあいを行わなくてはいけない。
    だが、この「カウンター攻撃能力」を通常の戦闘行為の代わりに行えば、最速の攻撃で相手にダメージを与えつつ、自分は近距離移動で敵の攻撃を空振りさせることができる。
    この戦闘方法を行える限り、弓兵は1対1の戦いにおいて勝てないことはあっても負けることはまずないだろう。

    そして最速の射撃ができる利点を最大限発揮するものとして、一般的な歩兵職業の中で唯一対空戦闘行為を行うことができる。
    その有効例が敵対勢力の航空機の奇襲を個人迎撃したものである。この面からみれば、「カウンター攻撃能力」という名称は実に正しい。
    対空に限らず「カウンター攻撃能力」を“後の先”として見れば、敵の作戦を一本の矢で妨害することも可能になる。
    その最たるともいうべきものは本隊から離脱しようとする別働隊に牽制射撃を行うことで敵のグルーピング状態を強化・維持する戦術であり、
    この弓兵を利用してグルーピングを強化・維持する手法はベリサリウス将軍がレムーリアへの遠征で行った戦術である。

    また、弓兵は戦線において前衛を務めるわけではないため基本的に重装備であることはなく、
    遠距離での射撃戦闘行為を行う訓練を積んでいることから逆算して遠目が利く兵科である。
    その身軽かつ攻撃範囲の広い特性は偵察兵のない世界で斥候を務めることを可能にしており、
    斥候によって疲労した状態でも、「カウンター攻撃能力」によってそれでいてなお交戦時も前線の支援を行うことができる。
    これもまた、レムーリアへの遠征時に行われた戦術である。

    一人ひとりの戦闘力が戦士や魔法使いに劣る弓兵を運用するにおいて、以上のような数字にならない、数字にできない使い方を模索することが
    弓兵のポテンシャルを最大限に引き出すものといえるのだ。

    D.弓兵の背景の利用
    身軽かつ攻撃範囲の広い特性を有効活用する前提に、平均的に鍛えられた身体能力に由来するものが大きい。
    普通よりも少しだけ力が強く、少しだけ機敏に動け、少しだけ遠くを見ることができる。
    これら少しだけ上をゆく積み重ねによって弓兵は自身の戦闘能力以上の戦果を挙げてきているのだが、
    その本質は、弓兵という兵科となる前の弓使いの系譜にまで遡ることができる。

    弓矢、すなわち射撃武器の根源に近いそれは、古くは人の血を流す武器ではなく、人の命を繋ぐ狩猟道具であった。
    人間は農耕を始める前に、狩猟採取によって食生活を営んできた。
    木の実や果物を採取するだけでなく、動物を狩りによって食物として獲得してきたわけだが、
    自然界で生き延びるに人間の体は非常に弱く、身体的特徴に劣った存在である。

    その肉体的なハンディキャップを埋めたのが知恵であり、犬や猫をはじめとする人以外の友であるというのは非常に有名な話だが、
    その知恵の結晶の一つが狩猟道具であり、弓矢を初めとする射撃道具である。
    手の届かない所を飛ぶ鳥、近づけば逃げ出すような小型や草食系、近づけば死を覚悟しなくてはならない大型や肉食系の動物など、
    遠くに攻撃を行う手法の追及、精度の向上は、人間の食糧事情を著しく改善していったといえるだろう。

    しかし、弓矢が発明されたからといって、誰でも簡単に遠間の的を当てられるようになるわけではないし、
    現代の銃器がそうであるように武器の取り扱いについての習熟はもちろん求められるわけだが、
    弓が狩猟武器であった当時、弓使いに求められたのは“見極め”であった。
    風を読み、匂いや音を見極め、タイミングをはかり。そしてその時と最善のポジショニングを得るために身体能力を駆使する。
    この、ヒトがヒトであるための知識としての技術の習熟と、動物としての身体能力の全力行使。
    二つの融合によってヒトは大いなる自然との一体化を感じ、悟りにも似た生命の循環の理解と、自然への信仰が生じていく。
    こうして育まれる精神力もまた、狩りにおいて欠かせない必要な資質だ。

    そしてこれらは、機械文明においても姿形を変えて「武道」という形で受け継がれている。
    すなわち、るしにゃん王国の弓兵は、人と人の戦の始まる前、原始の時代から受け継がれ続けた狩猟のための技術と能力を基盤とし、
    生きる糧を得る力を戦いのための武力に鍛えなおしたものなのである。
    さらにるしにゃん王国では一度、文明を放棄する選択を行って人の営みを原始からやり直すことを選んでいる。
    はるかな過去ではなく至近の現実として、狩猟の本質と弓矢の本来の取り扱いを武道ではなく日常生活として学んだ彼らは、
    戦いに赴く者としてそれ以上にない確かな基盤を確保しているといえるだろう。

    また、弓矢という武器の特性もまた弓兵のポテンシャルを高めている一因である。
    弓矢は放物線を描いて着弾する、曲射の武器であり、曲射の一番の特徴は目標との間の障害物を放物線軌道によって回避することができる点である。
    そのため、コンクリートジャングルなどの近代都市戦ではビルを挟んだ奇襲や狙撃する運用が可能となり、
    直線軌道では攻撃しにくいポイント(巨大モンスターの背中を地上から狙うなど)を攻めて意表を突くことが可能となる。
    また、銃器と違って火薬を使わないため、水中(そして理論上は宇宙)でも射撃戦闘が可能であり、
    射撃時の音も少なく、魔法の光を隠せば夜間戦闘や狙撃の際の奇襲にも高い適正がある。

    そして、るしにゃん王国で生産されている矢の中には、忍者の系譜を残すものとして白兵戦が可能な幅広い刃が取り付けられているものがある。
    いうなれば矢の形をした短剣であり、矢筒の中にこれを一本収めておけば、日常生活では鉈のように枝打ちや解体に用いることができる。
    また、白兵戦可能な強度によって高層ビルから落下するヒトを助ける足がかりに使われたという話もあり、ただの銃弾・砲弾では実施できない応用性を兼ね備えているのだ。

    D,武道としての真髄
    弓は近代文明においてもスポーツや武道として多くの人に親しまれているが、
    その理由は、単なる趣味嗜好ではなく、弓の真髄にあるだろう。

    足踏み、胴造り、弓構え、打起し、引分け、会、離れ、残心。
    射法八節と呼ばれるこの弓の型に矢を射る行為は集約されており、正しい型をとれば的に当たらないことはない、とまで言われるほどだ。
    そして、その言葉はこう続く。それでも的に当たらないのなら、それは技術ではなく、精神的な理由にあると。

    イメージトレーニングという言葉を、弓道は静射と呼ぶ。心の中だけで射る、静かな射法である。
    武道として弓を修める者は練習の前に静射を行い、自らの射法と向き合うのである。
    そこには自分と的しかいない。
    全ての雑念を捨て置き、八節を窮め、放たれた矢は静かに的に吸い込まれる。
    これを現実に体現することが弓の全てであると語る人もいる。

    このように弓は他の武具よりも精神性により重きをおいたものなのだ。

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