るしにゃん王国 [One Message View / 降下っぽいSS]

るしにゃん王国

■1747 / 2階層)

　降下っぽいSS

□投稿者/ manaly 一般人(28回)-(2007/08/04(Sat) 15:33:52)

650文字。
たぶん南無さん主役です。すいません勝手に使って。
--------------------------------------
　宇宙空間には空気がない。
　空気がないということは、その振動である音がないということだ。

『―――聞こえますか？』

　したがって。
　その声は、各員に配布された極小のインカムを通じて、彼らの所にもたらされたものだった。

「聞こえてますよ」
　声に応じながら、狭いコクピットの中でこっそり溜息を吐く。出来る限り落ち着いた声を出すようにと、自らに言い聞かせながら。それが、年長である自分の役割というものだろう。
　通信の相手――その声はまだ幼いものだった。機械越しでは声変わりをしているかしていないかの判断もおぼつかないほどに。同時にそれは、この先に待つ戦闘がいかに重要かを物語っているともいえた。
　既にあらゆる意味で後がない。有能だから、人手がないからと言うだけで、最前線に少年少女を引っ張り出すまでに、ニューワールドは追いつめられているのだ。
　帰る国すらも棄てなければならないと、囁かれるほどに。

「何かありましたでしょうか？」
『あ、はい。降下予定ポイント到達まで、あと二十五分。少々早いですが念の為に準備をお願いします、と艦長が』
「了解しました。――お心遣い感謝する、とお伝えください」
『はいっ』
　緊張したような返事の直後、緊張したような吐息の音がマイクを揺らす。
『あ、あの、それから』
「はい？」
『ええとその――お見合い、みてました。中継で』
「……はあ」
『ですからその、みんな応援してます。――がんばってくださいっ！』

　ぷつん。

「……何を頑張ればいいんでしょうか」

　思わずひとりごちて、天を仰ぐ。
　だがまあ、とりあえずは降下だろう―――

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`├` 降下判定 / クレール (07/08/04(Sat) 09:32) #1740
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